時間を究める(’23)
【講義概要】
毎回ゲストを迎え、それぞれの専門分野の立場から時間について話して頂く。時間について様々な角度からアプローチすることを通して、複眼的な視点を提供する。「色を探究する('13)」「音を追究する('16)」「色と形を探究する('17)」「色を探究する('23)」に連なる、多分野横断的な総合科目として構想する。
【授業の到達目標】
臨床心理学・コミュニケーション学・物理学・音響学・音楽学・哲学・老年看護学・社会科学のそれぞれの角度から、時間についての考察及び学びを深める。
【成績評価の方法】
毎回の小テスト(計40%)、最終回受講後の最終試験(48%)、及び第1回~第3回受講後に課す短いレポート(計12%)に基づいて評価する。
※オンライン上の学習で評価する。放送授業と異なり、通信指導や単位認定試験は行わない。また、単位修得できなかった場合の再試験制度も設けていない。
【履修上の留意点】
※本科目の受講には、インターネットなどの受講環境が必要となる。詳細は本学ウェブサイトを参照のこと。
※この科目は、2016年度以降のカリキュラムの方においては人間と文化コース開設科目ですが、心理と教育コース、社会と産業コース、自然と環境コースで共用科目となっています。
<小テスト・最終テスト>第1~8回:2025年01月08日(水)17時
講義メモ第1回 心理臨床の中の時間1-0 【導入】本科目を学ぶにあたって1-1 描かれた時間『絵画』1-2-1 描かれた時間『物語』1-2-2 描かれた時間『物語』 1-3 心理臨床における時間レポート第2回 文化の中の時間2-1 流れる時間2-2 時間はお金?時間は猛獣??2-3 時間の文化差レポート第3回 物理現象の中の時間3-1 時間と運動3-2 時間の相対性3-3 時間の計測レポート第4回 音の中の時間4-1 音と時間とのかかわり4-2 音の印象と時間4-3 音による空間の知覚4-4 音の記録第5回 音楽の中の時間5-1 身体のリズム5-2 パルス・拍・拍子5-3 リズム5-4 過去を生み、時は進む第6回 哲学の中の時間6-1 時間意識の諸相 ー西洋文明における時間論の展開6-2 現代哲学の時間論 ーハイデガー『存在と時間』6-3 時間の哲学についてのディスカッション ー臨床心理学、理論物理学の立場との6-4 現代技術がもたらす危機第7回 人生(老い)の中の時間7-1 老いから見る時間7-2 老いと時間感覚7-3 老年期の 健康問題と時間7-4 老いの中にある時間第8回 社会の中の時間8-1 社会時間と近代時間8-2 「時はチカラなり」8-3 「時はカネなり」8-4 「時は構造なり」【おわりに】 時間とは何か最終テストのメモ
講義メモ
講義ページ
第1回 心理臨床の中の時間
【講師】佐藤 仁美(放送大学准教授)
1-0 【導入】本科目を学ぶにあたって
- 「あなたにとっての時間とは?」
- 老年看護学の先生
- ポケットにいれたまま忘れてしまった乗車券
- 電車に乗っている時には気にもしないけど、終わりが近づいてくると気になってくる
1-1 描かれた時間『絵画』
絵画は空間芸術だから時間を描きづらいと言われているが、この頃の画家はそれに挑戦していた
ムンクの絵に描かれた時間

影の向きや行列などから時間を感じる

結核を患った姉の時間
コップの水の減り方からも時間を感じられる

晩年に書かれた作品。裸婦や若い男性の絵、ムンクの疲れた表情など、人生の時間を感じる
1-2-1 描かれた時間『物語』
ミヒャエル・エンデ『モモ』

- モモという女の子が主人公
- モモは色々な人の話を聞く
- 灰色の男たちに時間を奪われる
- 時間を切り詰めると枯れていく
- 一見無駄な時間も豊かさにつながっている
- 待つことは、相手に時間を与え、考える空間を与えること
1-2-2 描かれた時間『物語』
ぺっぼおじさん
次の一歩のことだけ、つぎの一呼吸のことだけ、つぎのひとはきのことだけを考えるんだ
先のことを考えすぎると、今がなくなってしまう。
1-3 心理臨床における時間
心理臨床における特徴
クライアントは時間という契約のおかげで自由にその時間を活用できる
レポート
第1回の講義の内容から学んだことを1点以上述べ、そのことに基づいて自分が考えたことを、自分の言葉で、300字以上 400字以内 で述べなさい。
第2回 文化の中の時間
【講師】大橋 理枝(放送大学教授)
2-1 流れる時間
- 時間が流れる
- 上旬、下旬
- 上流は過去?未来?
- 未来が上流の表現
- 新年を迎える、来月
- 過去が上流の表現
- 前年とか
- 前にいったところ
- またあとでね
- 未来が前の表現
- 未来に向かって進む
- 過去を振り返る
2-2 時間はお金?時間は猛獣??
- 時間はお金
- 時間がほしい
- 時間を稼ぐ
- 時間を無駄にする
- 時間を節約する
- 時間は猛獣
- 時間におわえる
- 時間を制御する
- 時間が迫る
2-3 時間の文化差
- 時が巡る:循環する表現
- 時が進む:一方向的な表現
- 十干十二支:12年で一周
- モノクロニック文化
- 時計に表示されている時間が対人関係より優先
- ポリクロニック文化
- 時計で表示されている時間と対人関係に基づいた時間が併存
- 日本でも一部ある
- 美容師は複数の客を並行する
- 料理もポリクロニック的
- 時間の文化差
- 時計時間
- 出来事時間
- バッタが揚がる時間
- 米が煮える時間
- あっというま
- 自然時間
- 拳の血管が透けて見える時
- たぞがれ時
- 誰そ彼:薄暗くなった夕方に「あれは誰?」
レポート
第2回の講義の内容から学んだことを1点以上述べ、そのことに基づいて自分が考えたことを、自分の言葉で、300字以上 400字以内 で述べなさい。
第3回 物理現象の中の時間
【講師】岸根 順一郎(放送大学教授)
3-1 時間と運動
時間は「運動を記述するためのラベル」にすぎない
時間、空間、場所および運動などには、万人周知のものとして、その定義を与えることはしない。
出展: アイザック・ニュートン「プリンシピアー自然哲学の数学的原理」
ガリレオの斜面の実験
自由落下は早すぎて測定が難しいので、斜面で落下運動を実験した
時間は媒介変数、パラメータ
3-2 時間の相対性
3-3 時間の計測
レポート
第3回の講義の内容から学んだことを1点以上述べ、そのことに基づいて自分が考えたことを、自分の言葉で、300字以上 400字以内 で述べなさい。
第4回 音の中の時間
【講師】亀川 徹(東京藝術大学教授)
4-1 音と時間とのかかわり
4-2 音の印象と時間
- 同時に音が聞こえる場合でも、方向が異なると聞き取りやすい
4-3 音による空間の知覚
4-4 音の記録
第5回 音楽の中の時間
- 「音楽は時間芸術である」という伝統的な音楽観
- ジョン・ケージ
- 4:33 時間枠あり
5-1 身体のリズム
- アンダンテ
- 歩くような速さで
- 人によって違う
- 大橋先生:122
- 岸根先生:86
- メトロノームのアンダンテ:63~75
- 意外と遅い
- 古典派時代のアンダンテ
- 早さの段階
- Largo→Adagio→Andante→Allegro→Presto
- メトロノームは50年後 1816年に特許取得
- アンダンテはバロック時代では「きびきび進め」という指示だったが、徐々にゆっくりしたニュアンスに変化した
5-2 パルス・拍・拍子
- パルス:一定の間隔で現れる等価な刺激
- 目立つもの(アクセント)と目立たなないものが現れる
- 一つ一つの刺激が拍
- 目立つ拍を周期的に出現させると拍子となる
- 目立つ拍が一拍子おき:ヘミオラ
- シンコペーション
- 強い拍と弱い拍で逸脱して時間的な面白さを作る
- 裏拍に合わせて歌う、など
- テンポ・ルバート:盗まれた時間
5-3 リズム
- 拍子がない音楽・パルスがない音楽はどちらも世界中にたくさなる
- モンゴルのオルティンドー
- 西洋のグレゴリオ聖歌
- 時計の針は「ちく、ちく、」と進むが、「ちく、たく、」と認識している
- クーパーとマイヤーのリズムの定義
- 前提:パルスがある音楽が対象
- 定義:1つかそれ以上のアクセントづけられない拍が、一つのアクセントづけられた拍との関係でグループにされるやりかた
- 強勢 stress:強く奏される拍
- アクセント accent:目立たせられた刺激
- 拍子とは別にリズムが存在していて、目立つ拍(アクセント)が移動するとグルーピングが変化→リズムが変化する
- 一連の刺激を文節してグループを作ろうとする
- リズムとは、人が音楽の時間を文節してできたもののかたち
- パルスや拍や拍子がなくても、リズムは存在し得る
- リズムの語源 rhythomos(ギリシャ語)は「かたち」という意味
5-4 過去を生み、時は進む
- 「時間の巻き戻し」を利用した音楽形式
- 変奏曲
- テーマ→第一変奏→第二変奏→第三変奏→
- ポピュラー音楽
- イントロ→Aメロ→Bメロ→サビ→間奏→Aメロ→Bメロ→サビ・・・
- ソナタ形式
- 提示部→展開部→再現部
- 雅楽やガムランは循環しつつ前進
- ジョン・ケージ
- 4分33秒:時間の経過
- 0分00秒:時間の概念を取り払った
- ホールでオレンジジュースを飲む音を流す、日常の中の音がこんな味わいになるのかというような表現
第6回 哲学の中の時間
【講師】魚住 孝至(放送大学特任教授)
全く分からなかった
6-1 時間意識の諸相 ー西洋文明における時間論の展開
6-2 現代哲学の時間論 ーハイデガー『存在と時間』
6-3 時間の哲学についてのディスカッション ー臨床心理学、理論物理学の立場との
6-4 現代技術がもたらす危機
第7回 人生(老い)の中の時間
【講師】井出 訓(放送大学教授)
この人にこにこ穏やかに話してて好き
7-1 老いから見る時間
7-2 老いと時間感覚
7-3 老年期の 健康問題と時間
7-4 老いの中にある時間
第8回 社会の中の時間
【講師】坂井 素思(放送大学名誉教授)
8-1 社会時間と近代時間
8-2 「時はチカラなり」
8-3 「時はカネなり」
8-4 「時は構造なり」
【おわりに】 時間とは何か
最終テストのメモ
- 全8問
- 各章の小テストの中から全く同じ問題が出てそう
- 6,7回だけ違う・・
- 初回回答で採点されるので注意